今もなお昭和の懐かしき感覚や家族のあり方とは何なのか?と投げかける作品を 発表し続ける映画監督 佐々部 清の魅力を2014年公開「六月燈の三姉妹」、そして2015年7月11日(土)より全国順次ロードショーされる待望の新作「群青色の、とおり道」2作を通し監督の思いをお届けしたいと思う。

 

「六月燈の三姉妹」佐々部 清 監督 俳優 西田 聖志郎 対談インタビュー

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「六月燈の三姉妹」記事内画像西田さん1

NOSVIS 撮影場所が鹿児島ですが、なぜ鹿児島だったのですか?

 

西田さん 鹿児島を選んだのではなく私の中でその選択しか考えがなかったです。なぜなら鹿児島は生まれ育った場所ですし、その育った町はシャッター商店街以下で、シャッターすらなくなり商店であった名残も残ってない状態なのです。

この撮影場所は、実家から歩いて数分の、そんな真砂商店街でロケを行ったのです。

この真砂商店街は、映画と同様になんとか商店街を盛り上げようと様々な取り組みをされていたのですが、なかなか商店街周辺にお住まいの皆さんまでその取り組みが広がっていませんでした。

ですが、この映画の撮影を通して商店街の方、婦人会の方が中心となってこの映画のボランティアとして支えて下さり、その輪がどんどん広がり短い撮影期間ではありましたが、気付けば真砂商店街全体がこの映画作りに参加して下さいました。本当にありがたい事でした。

この『六月燈の三姉妹』という映画を通し、何かしら真砂商店街、町全体の活性のお役に立てたのなら、本当に嬉しく思いますし恩返しもできたのではないかと思います。

 

NOSVIS 監督の作品を拝見していると人間の生々しさ、リアルさが映し出されていますが、監督は意識的にそこへ踏み込み撮影されているのですか?

 

佐々部監督 いつも映画を撮る時に思う事は、当然この作品もフィクションですよね。西田さんはここの生まれですが、吹石くんだって大阪だし、羊ちゃんは福岡だし、でもこの作品の上映時間内に人を感動させるには、小さい真実をいっぱい重ねなければといつも考えています。それは西田さんが演じるお父さんにしても、どこか西田聖志郎という人が入っていたいと思うし、吹石一恵という子と出会って彼女は男前な子で、彼女のキャラクターが生きる主人公にしたいと思いました。それが今言われた生々しさに繋がるのかもしれないけど、創り物を一生懸命演じるよりは、そのキャラクターにその人が持っている本質みたいなものを嵌め合わせていく方がよりリアリティーが生まれるといつも思っているので、自分の演出をする時にはそれを心がけながらやっているのだと思います。

 

六月燈の三姉妹 先方記事内画像3

 

NOSVIS キャスティングに関しては、オーディションだったのですか?

それともすでに決まっていたのですか?

 

西田さん キャスティングプロデューサーもいましたので、1つの役に何人かの候補が上がりました。

最終的には監督と仕事をしたいと思ってくれた出演者たちが集まってくれたという事につきると思います。

 

NOSVIS 赤坂で監督との偶然の出会い これも縁ですね。

 

西田さん 今思うと本当にそうだったと思いますね。それととても嬉しいのがその後のキャストの皆さんの活躍ですね。

津田寛治さんもTOKYO MXで放送されている『食の軍師』で連続ドラマに初主演しており、吉田羊ちゃんもテレビドラマ、映画と最近では見ない日がないぐらい大活躍されていますし、皆さんこの作品をきっかけに更にステップアップしてくれたのなら企画・制作者として、こんなに嬉しいことはありません。

 

NOSVIS こういうお話しをお伺いすると縁というものの大切さをすごく感じますね。

 

佐々部監督 僕は基本それだけだと思います。人とどのように出会って、どのようにものを作っていくかって、もちろんお金の話しも大切な話しですが、お金ではない事の方がより良い作品を生むためには大事な事のような気がしています。

 

六月燈の三姉妹 記事内画像4

 

NOSVIS)最近の若い世代の作品を見てお二人は、どのように感じますか?

また現状の映画界をどのように感じていますか?

 

佐々部監督 僕もここ数年色々な企画を常に持ち歩いていますが、ひとつ残念な事はプロデューサーの方達が思いを込めてこんな作品を作りたいというよりも、この原作ならいくらお金が入って、どれだけ動員出来るか、と数字が第一となりすぎている事ですね。

プロデューサーにこんな作品を映画化しようと話しをしても、まず先にでて来る話しは残念な事に企画の内容ではなく、いくらかけて作ってその金額に見合う動員数が期待できるのかどうなのかという話しが先行してしまい、思いが優先するような作品創りが消えつつある事だと思います。

もちろん商業映画ですからお金の部分は考えなければいけませんが、少なくとも10年前、僕が『陽はまた昇る』や『半落ち』を作りたいと思っていた時期は、若いプロデューサーが「これで作品がうまくいかなければ、僕が辞表を出します」って強い覚悟を持っていましたが、現状は自分の保身が中心となってしまっていますから。まず安全な何百万部売れた原作などに手を出しがちなところは、本当に悲しく思います。

 

西田さん ただ若い監督やプロデューサーには、誠実に映画作りに取り組んでいる人たちもいます。

 

佐々部監督 その通りですね。

 

西田さん つい数ヶ月前にも新人監督を発掘する映画祭があったのですが、そこに出品している若い方達は自分のアルバイト代をため30万円40万円でショートムービーを作ったりしていました。

世代の感情の変化や物事の見方は、その世代を象徴しており私は彼らの目線に注目しています。

 

佐々部監督 僕はそんな映画祭の若い子達とその後も会って話しをしていますが、ひとつ言いたいのはもう少し勉強はした方が良いと思っています。

以前その子達に色々な作品を見た?いわゆる古い名作と言われる映画も見てみた?と聞いた事がありましたが、1人の子は僕にこう返答しました「古い名作と言われる作品や、他の作品を見て影響されたくないのです」。それは少し変じゃない?と僕はその時答えました。模倣から始まる事も必要な時があるのだと僕は思いますし、カット割の意味、なぜ引きの絵から入ってアップにつながるのか?そのような意味全てが大切な勉強だと思っています。

あとは僕自身未だに「監督の佐々部です」って恥ずかしくてとても言えませんが、若い子は平気で映画監督と言ってしまう所は、本当に勇気があるなと思いますね(笑)。

8ミリで20分の短編を撮ってもそれはもちろん監督なのかもしれませんが、世の中にとっての監督というものはまたそれとは少し違うもののように個人的には思っています。

 

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