柳宗理ら25人のメンバーによって協会創立されてから60周年がたった!インダストリアルデザインの今とは?そして今後求められるデザインの方向性とは?JIDA会長 浅香嵩氏が語る

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日本インダストリアルデザイナー協会

 

——JIDAがやっと親になったという感じですね。

 

まさにそうですね。みなさんが集まってくれて、インフラをようやく整えた感じです。いろんな意味で、社会にアピールできるところまできたのかなって思います。ただ、器をつくっても、中身がなければ何の意味もないので、60周年を皮切りに、中身を作って行く時代にならないといけないのです。

 

 

——「インダストリアルデザイン」という言葉は、幅がすごく広いように感じますが、JIDAはどの範囲まで扱っていらっしゃるのでしょうか?

 

インダストリアルデザインは1950年代に日本に入ってくるのですが、主なルートはアメリカです。アメリカでいうインダストリアルデザインは、日本語に訳すと「工業デザイン」なんですね。ですから、幅はきわめて狭い。何故狭いかというと、ターゲットは大量生産できるものだけです。わかりやすくいえば、家電製品や、車がメインです。日用雑貨もありましたが、それよりも政策的には、家電と車に投入されたというのが、日本のインダストリアルデザインの歴史です。ですから当時は誰も「産業デザイン」とは言っていない。メディアでも「産業デザイン」とは訳してはいないんです。
僕自身は、カタカナで言っています。というのは、概念のコンテンツがないときに、それを産業といったり、工業といったり、特に工業というのは歴史があるので問題はないのですが、産業といってしまうと、本当にその本質が分からなくなってしまいます。
例えば「産業デザイン」とすると、工業、商業、農業、情報産業も、アパレル産業も全部含んでしまって、その対象領域はきわめて幅が広いのです。でも、昔でいう工業デザインの概念では包括しきれない現状を迎えてしまっているので、チャレンジャブルですが、いま、あえて「産業デザイン」と読み解かなくてはいけないときを迎えているのだと思います。
今、非常に重要なのは、ものの姿、形、使いやすさ以上に人間とのインターフェイスなんです。情報機器がどんどん発展することによって、冷蔵庫ですらモニターがつき、パネルと人間が向き合うモノとの関係が生まれました。そこには、今までのプロダクトデザイナーが学んでこなかったような手段でモノを使いこなすことが必要になる。その領域まで勉強をし、デザインに織り込まなくてはいけない。でもそれには限界があります。コラボレーションの概念だったら、ジャンルごとの専門家たちとネットワークを組んで仕事をしていけばいいと思うのですが、ただ、僕ら自身のマインドが変わらない現実があって、今までとは違う状況にいることはみんな感じていても、ベクトルを見いだせていない状況なのだと思います。3年5年と進む中で整理していきたいですね。

 

 

——工業デザインというのは元々大量生産できるという意味だというお話がありましたが、「Gマーク」の存在は大量生産するためのデザインではなくて、特別なもの、スタイリッシュなものをあえて作っているように感じるのですが。浅香さんご自身からみた「デザイン」は、どのようなものだとお考えですか?

 

まさに重要なところで、僕自身も常に考えています。昔も今も変わらず大切にしたいのは、自分たちの美しい生活や、暮らしやすい生活を支える考え方や仕組みを可視化することがデザインだということです。
デザインという言葉を読み解くと、すごく難しくて、例えばアメリカにいくと、デザインはドローウィングや設計、計画、企画、全てがデザインなんですね。それから、僕らが生業にしている造形もデザインです。三角形でいうと、哲学や思考が上にあって、下には物理学や数学、生物学などの土台がある。そう考えると、同じデザインといっても、ベースにあるのは、ファッションや建築といった職能としてのデザインがあって、上のほうには、概念、観念としてデザインとは何かを考える人たちがいるのです。いってみたら、会社の経営者はデザイナーではないか、という考えも僕は外れではないと考えています。ですから、それぞれの役割を整理して構造化したいですね。 

 

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