柳宗理ら25人のメンバーによって協会創立されてから60周年がたった!インダストリアルデザインの今とは?そして今後求められるデザインの方向性とは?JIDA会長 浅香嵩氏が語る

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日本インダストリアルデザイナー協会

 

——デザイナーやデザインと言ってしまうと、限られた人たちだけの分野に感じてしまいますが、いろんなところに転がっていて、それをモノで表すか、言葉やシステムに表すかという違いなのかもしれないですね。

 

こういう歳になると、自分の人生をデザインしたのかなって思うことがありますよ。人生も、企業も、モノではないけれど、根っ子にあるものは共通するところが沢山あるんじゃないかなって思いますね。
Gマークの中に「ロングライフ賞」という部門がありますが、これは今みると、すごくチープなものが結構あるかもしれない。でもロングライフとして表彰するというのは、本当はデザイン振興会がもっと力をいれてやらなくてはいけなかったし、やりたかったことだったと思っていて。デザインはひとりひとりの生活者に戻ってくるもので、ことさら評価する必要のない時代になったら、僕らデザイナーの役割は終わるのかなって思いますね。僕が大学のころ、GKの栄久庵憲司さんが「心」というものをテーマに講演をされていたのですが、皆それぞれ違う中からどうやって最大公約数をみつけるのか、またどう評価するのか、疑問に思ったのを覚えています。デザインの大きなテーマは「ありふれたモノ」のなかにどうやってデザインを織り込んでいけるか、ということだと思っています。そしてこれは今でも重要で永遠のテーマだと思います。

 

 

——JIDAの中で若い世代を育てていくときに必要だと感じられる、他の団体はありますか?

 

まず同じようなテーブルに乗っかっているというのが、デザイン8団体(D8)※1です。これもデザイン業界の七不思議なのですが、例えば、インダストリアルデザインをやりながら、パッケージをやったり、ディスプレイをしたり、インテリアデザインをやる方は結構多くいます。でも、それぞれに専門団体があることを知らない人がかなり多いんです。

公益法人化をきっかけに、いま横の連携をし始めました。それから、おおもとである、日本デザイン振興会がデザイン団体に声がけをしたり、地方の行政と連携をするという活動が大きくなっています。Gマークの力は凄いものがあって、ひとつのブランドは確立できたと思うのですが、デザインの力を定着させるのは、まさにこれからだと思っています。ヨーロッパをみても、北欧や僕を育ててくれたドイツにも「デザイン観」は明確にあります。これをなんとか日本でも、デザイン運動を牽引していく組織や団体の中から作っていかなくてはいけないと思います。

 

 

——D8の団体がひとつになってデザイン業界を補っていくことはあり得ますか?

 

これはD8のトップの方たちとも話しをしているのですが、まずは、モノ系、空間系、情報系。まずこの3つのカテゴリーに分け、集まらないかという意見を持っています。私なりの考え方になってしまうかもしれませんが、モノの領域として、インダストリアル、クラフト、ジュエリー、パッケージ。そして空間系としてインテリア、ディスプレイなどの空間をコントロールするもの。情報系としてグラフィックやサインなどの視覚伝達をするものがまとまって、その先にデザインという大きなコンセプトでまとめるような団体になれば、スムーズに移行できると思いますね。

 

 

——1950年初頭のインダストリアルデザインは必要だから生まれたラインってあったと思うのですが、今はラインありきで用途を考えられているような感じがしますが、いかがですか?

 

それだけではないのですが、そうなってきてしまっている理由のひとつに、デザイナーがCADというツールを経て、自由に造形ができてしまうことが挙げられると思います。機能的には意味のないラインを入れ、ファッショナブルにする傾向を強めるのではなく、もう一度、何がエッセンスなのか、遊びたい部分はどういうステップで行うべきなのか、ということを整理すると、モノに対する信頼感や、有り様が変化すると思います。
今でも私は原寸のモデルをなるべく作るようにしていますが、そこではバーチャルの世界では見ることのできない「意味」が感じられるのです。現在のCADは精度があがっているので、画面上でかなり細かいところまで作ることができるのですが、実際にアナログの原寸モデルを通してみることによって、デザインに深みを与える気がしますね。
クリエーターはリアルに受け止め、リアルなもので伝えなければいけないのです。
それには本来はビジュアルだけではなく、1週間程度使用して改良していく作業をしたいですね。今、効率化ばかりが重要視されすぎていて、アナログ的な方法を手放してしまっているところがあるのですが、日本のデザインに必要なのはプロセスを吟味することで、中国のデザインと差をつける一石になるのではないかと思います。

 

※1. 日本空間デザイン協会・日本クラフトデザイン協会・日本インダストリアルデザイナー協会・日本パッケージデザイン協会・日本グラフィックデザイナー協会・日本インテリアデザイナー協会・日本ジュエリーデザイナー協会・日本サインデザイン協会

 

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