柳宗理ら25人のメンバーによって協会創立されてから60周年がたった!インダストリアルデザインの今とは?そして今後求められるデザインの方向性とは?JIDA会長 浅香嵩氏が語る

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日本インダストリアルデザイナー協会 

 

——「デザインの探究」と「育てること」、それぞれで一番大切にしていかなくてはいけないのは、どのようなことだと思いますか?

 

「デザインの探究」という点ですが、アジアを見渡したとき、15年から20年前くらいまでは、日本の産業はアジアを工場だと捉えていればよかった。でも今は消費地として考えざるを得ないのです。どこで自分たちが考えたものを受入れてもらうのか、はたと気がついたら、日本と同等にものを作れるところが増えてきた。例えば韓国とか、日本の家電業界の6社よりも1社が大きな利益を上げている現実をつきつけられています。これは、LGとサムスンしか大手家電メーカーがないので単純には言えませんし、サムスンが日本の6社分の利益をもつのが当たり前かもしれない。でも、アメリカやヨーロッパの市場で、サムスンというブランドがあたかも、日本ブランドと間違えられて、「デザインが良い」といって受入れられていることから目を背けてはいけないと思うのです。

 

JIDAのテーマでも私自身のテーマでもありますが、ジャパンデザインをどうやって復活させていくのか、これがここ数年の大きな課題だと思っています。そのときに何を見たら良いのかといったら、日本の文化を見直して行くことではないでしょうか。風土や気候、歴史も含めて見直す。ソニーのウォークマンをみていると見えてくるものがありますが、日本が高度成長期になると、インターナショナルデザインを目指すことがデザインの大きな目的であり、インターナショナルデザインがベンチマークだったのです。ドイツやイタリア、アメリカのデザインに追いつけ、追い越せでした。
ソニーのウォークマンのころ、彼等は常にデザインをインターナショナルに発信することで、どこの国でも喜んで使ってもらえるデザインを目指していた。それが見事にあたって、世界にどんどん日本のプロダクトが進出していくわけですが、その理由は何かというと、日本のクオリティーやコンパクトにまとめる気質、省エネといった内容だったのです。文化的、歴史的背景を表に出さずに、わりとあたりさわりのないモダンなデザインで、インターナショナルにしていくことを表に出していました。
それを韓国が追っかけて来たんですよ。韓国には5,000万人の市場だけしかないので、常に外に向いています。そのため、韓国で僕が講演したときにも、「韓国のデザインとはなんだろう」と非常に考え込んでいました。

 

CADも、違う角度から見ると、きわめてインターナショナルな手段で、ソフトウェアは文化も歴史も一切関係なく、自分の思いを確実に作ってくれるツールです。ですから、韓国に行って色々なプレゼンをみたときに、僕が「キムチの香りがしない」と、嫌みではなく、そういうものが最終的には競争力のバックグラウンドになるのだろうと感じて、思わず言ってしまったら、すごく嫌な顔をされました。
でも日本はどうなの?ということを考えたときに、iPhoneに負けた現実があります。彼らはインターナショナルとは違う、新たなステージにもの作りを進めてしまいました。もともとドイツのデザインに影響を受けたために、彼等のデザインは、僕が知っているドイツデザインとそんなに変わらない。非常に機能主義的で、それをもっと極端にしています。というのも、彼らはiPhoneを白と黒の2つのバージョンしか作らない。
でも、自分たちが作らなくても、サードパーティーが作ってくれちゃうんですね。その人たちは、もっときらびやかで、自分に合ったものや、カラフルなカバーやアクセサリーをつくってくれるのです。このような形は未だかつてなく、そういうものを日本のデザインもつくりあげなくてはいけない。21世紀に入った新しい文脈でのジャパンデザインをつくりあげなければいけないと思っています。

「育てる」ということに関しては、60周年のテーマにあげている「基層と先端」という考え方を若いデザイナーや、デザインを志す人たちに伝えなければいけないと思います。それに、ライフスタイルをつくる一般の人たちにもデザインの意味、ジャパンデザインの目指すところを伝えていかなくてはいけないと思います。支える人たちを確実に育てる手段を考えることが大切です。

 

 

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