数々の国際映画祭で高い評価を受け続け、世界中に熱狂的な“キヨシスト”を持つカリスマ、黒沢清監督がオールフランスロケ、外国人キャスト、全編フランス語のオリジナルストーリーで挑んだ初めての海外進出作品『ダゲレオタイプの女』!!

世界最古の写真撮影技法“ダゲレオタイプ”が若い二人を引き寄せ愛と悲劇を呼んだ!

 

主人公を演じるのはジャック・オディアール監督作品『預言者』でセザール賞の主演男優賞と有望若手男優賞をダブル受賞したほか数々の映画賞を受賞、アスガー・ファルハディ、ファティ・アキンなど名匠とのタッグが続く実力派俳優、タハール・ラヒム。

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NOSVIS 監督の作品は、折り重なる闇の表現が多くあるように感じますが、闇の原点となる思い出があるのですか?

 

黒沢監督 やはり明るい部分の表現を際立たせるためには、一方には闇がなければその明るさは、引き立たせる事ができないと思っています。

真っ暗な空間で明るいスクリーンを見る映画館という場所がまさにそれですよね

ただ、スクリーンはあくまでも暗闇に開いた四角い枠でしかない。枠の外には言うまでもなく劇場の暗闇があるわけです。

スクリーンは、なんでも写す事ができますが、スクリーンのあの枠の中以外は、1ミリも出ることができないですし、どんな物語も一日の出来事も、何百年をまたぐ物語も決められた時間の中で語るしかなく、どうしても観客の想像力を信じて、映っていない部分を如何に想像して頂くかが、映画表現の基本だと思っています。

闇はまさにそんな映画的想像力のみなもとであり、それはひょっとすると劇場の中までも広がり、その先に何があるのだろうとワクワクしながら闇を凝視することが、最も豊かな映画体験なのだと考えています。

小さい頃に映画を見に行くというと、やはりゴジラ等の怪獣映画でした。

そうしますとだいたい薄暗く、ゴジラが上陸し町を踏みつぶし人が大勢死んでいくというストリーが映画の最初の経験でしたから、あの映画館の雰囲気、恐怖と破壊の印象が、未だに頭に刷り込まれているのかもしれません。

ゴジラを制作した皆さんは戦争を経験してきた人たちで、実際に町が破壊されていく姿を目の当たりにしてきた人たちですから、戦争知らない子供たちに戦争の恐ろしさを、形を変え伝えたとも言われています。まさに僕はその先人達の思いにしっかりとはまっていたのかもしれません。

 

映画『ダゲレオタイプの女』記事内画像3

 

NOSVIS タハールさんが役者を志したきっかけを教えてください。

 

タハール 私の生まれた町は、本当に小さな町で何もする事がなくとても退屈でした。その頃退屈を凌ぐため私は、映画館によく行くようになっていました。

ある意味映画館が、私の逃げ場の様な場所だったのかもしれません。

そしてその暗い映画館の中で、ある種の催眠をかけられているかのように、知らない人たちと同じ時間を分かち合い、映画から放たれるその光によって、その場に居合わせた知らない人たちと近い感覚を同時に受け取り分ち合う不思議な空間に心惹かれていました。

そして徐々に自分自身が、役者を志していました。

その夢がこうしてかなっている事は、とても幸運な事だと思います。

 

黒沢監督 タハールの生まれたベルフォールという町にも行きましたが、とてもかわいらしい建物が立ち並ぶ素敵な町でしたよ!

 

NOSVIS 最初に作品を見られた時の感想を教えてください

 

タハール シナリオが実際の作品となった時には、とても嬉しかったですしこの映画にとても夢中になりました。素晴らしいラブストーリーですし、黒沢監督らしいテーマが作品の中に詰まっており、最高のフランス映画だと感じています。そして音楽も素晴らしいですし、今作自体一連の絵画を見ているかの様に美しかったです。

 

黒沢監督 私は、自分の作品に客観的に感想を言う事はできませんが、全てが新鮮で刺激的でした。そしてタハールが横にいるので言いにくいのですが、彼の表現力がとても素晴らしかった!脚本には簡単な気持の流れは書いていますし、僕も簡単に説明しましたが、物語の順番に撮影していたわけではないにも関わらず、その思いを精密に何段階にも分けて、主人公のジャンの心の変化していく様を最高の形で演じきってくれました。

これまで多くの俳優と時間をともにしており、彼ら彼女の素晴らしさを知っておりましたが、ここまで表現力豊かな俳優に出会ったのは初めてです。おそらく、タハールは演技の資質以外にも何か特別なオーラと言うか、スター性のような物を持ち合わせているからなのでしょう。

 

NOSVIS お互いを一言で表したらどのような言葉になりますか?

 

タハール 神秘的です。

 

黒沢監督 大げさではなく天才ですね

 

 

 

映画『ダゲレオタイプの女』

 10月15日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開。 

 

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[ストーリー] 

パリ郊外、再開発中の街の一角、古い路地に佇む屋敷。

ジャンは、そこに住む気難しそうな中年の写真家ステファンの助手として働きはじめた。
「これこそが本来の写真だ!」等身大の銀板には、ドレスを着て空虚な表情を浮かべるステファンの娘マリーが写っている。ステファンは娘をモデルに、ダゲレオタイプという170年前の撮影方法を再現していたのだ。露光時間の長い撮影のため、動かぬように、手、腰、頭……と拘束器具で固定されていくマリー。
「今日の露光時間は70分だ!」ステファンの声が響く。

ダゲレオタイプの撮影は生きているものの息遣いさえも銀板に閉じ込めるかのようだ。
この屋敷ではかつてステファンの妻でマリーの母ドゥーニーズもダゲレオタイプのモデルをしていた。ドゥーニーズは今はもうこの世にいない。しかし彼女の姿は銀板に閉じ込められ、永遠を得たのだ。

ダゲレオタイプに魅入られたステファン。そんな芸術家の狂気を受け止めながらも、父から離れて自分自身の人生を手に入れたいマリー。そんな彼女に惹かれ、やがて共に生きたいと願うジャン。

ダゲレオタイプの撮影を通して、曖昧になっていく生と死の境界線。
3人のいびつな関係は、やがてある出来事をきっかけに思いもよらぬ方向へと動き出す――。

 

『ダゲレオタイプの女』
監督・脚本:黒沢清
出演:タハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー、オリヴィエ・グルメ、マチュー・アマルリックほか
配給:ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/dagereo/

 

 

 

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