三宅一生氏「造ろうデザインミュージアム」から10年

21世紀のデザインミュージアムに求められる役割とは?

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日本インダストリアルデザイナー協会前理事長 浅香嵩氏、日本グラフィックデザイナー協会前会長 勝井三雄氏、

日本サインデザイン協会常任理事 宮沢功氏、日本空間デザイン協会理事 洪 恒夫氏 インタビュー。

(左から順に洪氏、浅香氏、勝井氏、宮沢氏  以下本文中 敬称略)

 

 

 

——今回のように、デザイン8団体が一堂に会するというのは、珍しいことですね。

 

勝井:先ほどのイベントの中で、浅香さんが、通産省(現:経済産業省)の「競争力強化に向けた40の提言」というものを話題にされたときに、あ!と思い出したんです。あのときは、器なしの上だけを集めて何かしようとしただけだったんですよね。

  

2003年2月に通産省(現:経済産業省)から出された、産業競争力強化のために必要とされるデザインの創造と活用に関する課題と対応についてまとめた40の提言

  

浅香:JIDAの理事長時代、経済産業省のデザイン関連施策には色々と関わりましたが、継続性というところにいつも問題を感じています。 現在でも担当者は長くて3年で変わってしまい、新しいデザイン室担当の方には一からデザインの説明をしなければならない場合があり、国としてのデザイン政策に問題があると思っています。

  

  

——戦後、「デザイン」が急成長をする中で、個人主義のデザインをされる方たちも出てきたように感じるのですが、いかがですか?

 

勝井:何か物を作るということがデザインではないんですよね。使うために作るんだから。だけどそこに、どうしても作らなければいけないという気持ちや、人に何かを与えたい、共通に意識したいという気持ちがあるか、ないかでまるで違うんです。それは、美意識だったり、好意だったり、お金にならないものなんですよね。物が経済行為のためだけにあるんだ、って言われても、それはデザインとは言えないって言いたいですね。絵描きだったら、悶々とした個を主張して、自分が死んでからでも評価されれば、それでもなんだかんだ社会に影響を与えるでしょう。でも、デザイナーは、今、何かを与えなければいけないんですよ。

 

宮沢:絵描きの場合は、デザイナーとは違って、基本的には自己表現ですからね。自分の哲学や考え方をファインアートという媒体にして出しているんですよね。

 

浅香:IDやプロダクトデザインの場合、その根底にはモノの姿かたちに対する個人的な美意識は当然ながらベースにあると思いますが、それよりも何よりも、こんな道具があったら暮らしやすくなるとか生活が豊かになるだろうと言う大きな目標があると思うんですよ。ですからそういう思いを繋ぎ合わせて全体としてデザインの力をアピールしたいですね。個々バラバラではそれは出来ないんじゃないかな。

 

 

 

——例えば、スポンサーがバックについた場合でも、ご自分の満足いくデザインはできますか?

 

宮沢:そこはさっき勝井さんが言ったように、間違えるといけないところなのですが、私たちの仕事は、自己表現ではないんです。この世の中がこうなって欲しい、ということは、考えますが、俺を表現したいからやる、というわけではないんですよ。そこがすごく重要なことだと思います。

 

浅香:デザイナーにとってスポンサーやクライアントは必要な存在だと思っています。私自身、小さな会社ですがメーカーの社長もやったことがあります。モノつくりやコト創りはデザイナーだけでは出来ないし、色々な方の協力が不可欠で、良いものを作ると言う事は、関わる皆が満足する事だと思います。

  

 

——とはいっても、制作をされる中で、どこかにご自分の気持ちを含めていきたい、とは思われませんか?

 

勝井:もちろん、それはありますが、でもその美意識なんてお金になるわけではないんですよね。文化を支える良心というのが美意識に通じるものなんです。

 

宮沢:これは、ジャーナリズムの人たちに言いたいのですが、みんなどうしてもスターを作ってしまうんですよね。「誰々のデザインです」って。日本人って自分の好きなデザインでなくても、有名な人のデザインだからって買ってしまう傾向があると思うんです。でも、この風潮を作ったのは、テレビをはじめとしたジャーナリズムなんだよ、って教えてあげたいし、あれは辞めて欲しいです。

 

 

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