三宅一生氏「造ろうデザインミュージアム」から10年

21世紀のデザインミュージアムに求められる役割とは?

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——道徳的なものを伝えられる、ということもデザインの中で多く求められていくのではないかな、と思うのですが。

 

勝井:要するに「感じる」ということですね。伝える方の役目ってすごく重要なんです。これが売れているからいい、とかではなくて、結果がどうなのか、ということが分かっていて報道するなら良いですが、ただ売れているという現象だけではダメなんですよね。

 

宮沢:テレビも視聴率を気にし始めてしまったら、本当のジャーナリズムにはなれないし、新聞も販売部数を気にしたらジャーナリズムとしてはダメになっていくんだよね。自分たちなりの視点があって、その上でやることが大切だなと思いますね。

 

 

——今回のようにデザイン8団体がまとまって、大きな動きをとろう、としていることが、ひとつの大きなきっかけですね。
でも、デザイン8団体ってひとくくりにされたくない方たちもいるとは思うんですが、その辺りはいかがですか?

 

洪:各々に活動していますし、ときに、みんな同じ目的を持って集まっているだけなので、嫌だったら距離をおけばいいんです。

 

勝井:社会に対しての責任はあるけど、利害関係ないことが最大の特典ですよ。

 

浅香:デザイン8団体が繋がり、コミュニケーションをとることが社会に対してどの位インパクトがあるのか、皆さん薄々感じているのだと思っています。

洪さんが今日も冒頭の話の中で紹介された、銀座ミキモトホールで開催した、DESIGNふたつの時代は様々な領域で仕事をされているデザイナーがまとまって世の中に時代の変遷とその中ではたしたデザインの役割について相当にアピール出来たと私は思っていて、これは一つの団体ではとても出来る事ではないですよね。

 

洪:形の目標ではなくて、やることの目標だと思いますね。

前回のトークはミュージアムの魅力について話をしたのですが、ミュージアムがあることで、できること、起こること、それがあるのと、ないので、こんなにも違うんじゃない?ということをみんなでイメージするんです。

今回の話でも、価値観を見いだせる場所があるだけで全然違います。さっきの社会的な問題ももしかしたら、解決するかもしれないですしね。それ以前にクリエイターのクオリティーとかセンスも上がるかもしれない。でもそのような場所がないということがよくない、ということなんですよ。おっしゃるとおり、デザインを語るうえでは、沢山の分野の目があってこそテリトリーが広がり、意味も深まるのだと思います。

 

 

——デザインというものは、人々の生活の中で、いろいろなことを気づかせるきっかけを持っているものなんだと思います。 

 

洪:もちろんそうですね。デザインはデザイナーからのメッセージなんです。だからそれが本当の広告的なものに付随するものもあれば、使う側が商品を通じて、作り手の送ったメッセージも受け取ることもできているんですよ。それができるのがデザインだと思います。

 

宮沢:多分、小説家が小説を書くのと同じような状況があるんだと思いますね。だから、デザインはコミュニケーションのメディアなんです。そのメディアを通して、何を伝えたいか、ということが重要なんですよね。

 

 

——個を強く打ち出しすぎていて、デザイナーなのかアーティストなのかわからない方たちがいるように思うのですが、それもデザインですか?

 

宮沢:デザインだと思いますよ。でも、それは少数の人間が買ってくれればいいや、というものなのかもしれないですね。8団体にはジュエリーデザインという団体もありますが、ジュエリーというのは、ひとりのためにデザインするので、買う方は、この人のデザインだから、欲しいということがあり得るんですよね。そういう状況が家具や車でもあり得るのかもしれないし、車だとカスタムデザインになってしまうかもしれないですけどね。でも、それはデザインの本流ではないんですよ。

 

洪:効率化を測って利益を上げるのがコンセプトなのか、一品すごいものを作る商品開発なのか、ということによって違うのではないでしょうか。デザイナーが商品を通して価値を生み出して、日常の生活の中で何かを取り込んでいくのであれば、手作り感覚が多いものだろうと、工場ラインで効率化されたものであろうと、デザインをしているのには違いないと思います。

 

浅香:モノとデザインが関わる世界って本当に広くて、中には非常にアートに近いモノの世界もあれば、その一方では感性的要素の比較的少ない機械装置類の世界があるわけで、それを一括りのレイヤーで語ろうとするのが今のデザインメディアだと感じています。基本的な価値観や価値軸をまずは確立しなければダメだと思っているんです。最近、ユニットだのなんだのと言って「なんちゃってアーティスト」みたいなデザイナーをメディアが取り上げているのを危惧しています。高価なカーボングラファイトという素材を使っただけの、なんの工夫もないスツールを作って、自慢げに取材を受けているのを見ると、本当に悲しくなります。

 

 

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