明治時代 妖怪とは何か?怪奇現象はなぜ起きるのか?本気で考えた学者がいた!!妖怪学者 井上円了

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「妖怪博士」とよばれた一人の男 

  

徳川幕府が終わりを告げ、新たな明治を迎えた、そんな時代に、妖怪とは何か?怪奇現象はなぜ起きるのか?ということを、心理学、身体学、統計学、民俗学…様々な学問から、本気で追究しようとした男がいた。交通のインフラが不完全な中、1道1府48県215箇所を渡り歩き、各地の不思議な話を集めたり、お化け屋敷といわれる場所に住んでみたりと、実にユーモラスな研究を大真面目に行なった井上円了。井上円了が創立した東洋大学で井上円了研究を行なう三浦節夫氏に、彼の人柄、そして彼の思想や研究にスポットをあて、お話をお聞きした。
  
 

——三浦節夫先生が井上円了について調べられる、きっかけを教えてください。

 

東洋大学100周年(1987年)の10年前なので、もう30年以上前の話しになりますが、高木宏夫という私の先生が、創立者の研究をしよう、と言い始めたのが、きっかけです。そして、東洋大学に「井上円了研究会」という有志の研究プロジェクトができました。3つの部会があったのですが、我々は第3部会で、哲学と社会学の先生が参加しました。それまで井上円了の客観的な研究は、なかったので、そこから我々が、書や、生前の円了と会ったという方たちへの取材、関係する文献を集め、研究を始めました。円了の書かれたものも、本だけで160冊、雑誌はおよそ千冊もあるんです。今も、まだ研究途中なんですけどね。
六曲一双屏風で残っているものは、珍しいのですが、円了の書が何故残っているかというと、妖怪学などの話しをして、全国を巡回講演(巡講)で歩いたとき、寄付をいただくと、御礼に書を書いたんです。明治24年から講演を始めたのですが、円了は、ご自分で書を書く前は、勝海舟の書を頂いて、御礼に置いてきていました。寄付金も、半分は地元の慈善事業の方たちに差し上げ、半分を頂いてきていたようなんです。東京の中野に「哲学堂」というものがありますが、生涯学習の大切さを説くために、農村や山村を中心に、全国をまわって集め、書を書いて寄付金を集めた資金で、円了が建てたんですよ。

 

——勝海舟と井上円了は縁が深いのですか?

 

そうですね。勝海舟との出会いは、娘さんの逸さんがきっかけだったそうです。逸さんは、目賀田種太郎という官僚と結婚しました。円了は、加賀前田藩の御典医の養子に入った人の孫で、吉田敬さんと結婚するんですが、その結婚するときに、海舟の娘の逸ご夫婦に仲人をしてもらったというご縁があったんです。そして、目賀田種太郎が「お父さん、面白い人がいるよ」というところから始まっているようです。

 

東洋大学も、円了が創ったのですが、当時、東洋大学が「哲学館」という名前だった頃に、勝海舟はお世話になった3恩人の一人でもあるんです。もう一人は、加藤弘之という、 開設直後の東京大学の初代総理です。それから、寺田福寿。この方は東本願寺の僧侶なのですが、慶応義塾で学び、福沢諭吉の推薦で、東洋大学の近くのお寺に入られた方です。勝海舟は、円了先生が全国をまわるきっかけを作った方でもあります。というのも、もともと東京大学の近くにある、お寺の一室を借りて「哲学館」が始まったのですが、円了が、一年間かけ、世界旅行から帰ってきたある日、「教育を推進するには、独立した校舎が必要だ」と言い、新校舎の建設が始まったんです。ところが、新校舎は完成間際に、台風で倒壊をしてしまって。

そのとき、勝海舟が、円了を呼んで、「精神一到何事か成らざらん」という言葉で激励してくれて、「これはほんの寸志だ」と紙包みを渡してくれたそうなんです。円了が、勝海舟のお宅を出てから、包みをあけてみたら、100円という大金が入っていたんです。円了は勝海舟の心遣いに大変感激したんですね。勝海舟は、そういう風にして、円了を励ましてくれました。
その後、再度、校舎を建て直さなければならず、大きな借金ができて、館主の円了は大変悩み、勝海舟のところに相談に行っています。そのとき、「お前は裸になれ、もう一度初心に返ってやり直せ」と円了は言われ、全国を歩いて講演をして、寄付を募る旅が始まったんです。4年間かけて、300日以上かけて、北は北海道から南は九州まで、全国を行脚したんです。そして、日本とは何だろうというのを、つぶさに見ることで、全国を歩く前にヨーロッパ、アメリカにも行っていますので、日本という国を客観的に見ることができたんですね。そのことが、円了の人生を大きく変えるきっかけにもなったので、勝海舟の存在は大きかったと思います。

 

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