明治時代 妖怪とは何か?怪奇現象はなぜ起きるのか?本気で考えた学者がいた!!妖怪学者 井上円了

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「妖怪博士」とよばれた一人の男 

 

——円了と柳田國男は、考えがすごく分かれているようでいながらも、本質的には、どちらも真面目な人同士なんですね。一方では物事の疑問を探求し、一方では、蓋をあけてはいけないことも世の中には存在すべきだ、としているように見えますね。

 

そうかもしれませんね。柳田國男の著書に「妖怪談義」という本がありますが、実は、柳田國男が妖怪学関係で、書いているのは極わずかなんです。長年追求したが、体系化はできなかったと言っています。
円了は、「易」も追求しているんです。易の大家のところに行って「何でそういう風に言えるのか」って聞いたそうなんですよ。何で、これが真実なのか、当たるも八卦、当たらぬも八卦というけれど、突き詰めて聞いていくと、みんなやり方は知っているのに、極意(本質)は知らなかったようなんです。そこに極意がないなら、哲学でやってもいいのではないか、といって、「哲学占い」という本を書いています。

 

 

——円了の研究された「正夢」※1も、統計に基づいた判断だったのですか?

 

正夢についても、ご病気のときに夢を見て、自分は何回どういう夢を見たか、という夢占いをしたんです。そのときに『星界想遊紀』という、日本で初めてのSFと言われる本を書いているんです。女性だけの国を取り上げたりしました。どういう動機で書き始めたのか知りませんが、発想が柔軟なんですよね。何でも考えて分析をしていく、その知恵に至る、それが円了の哲学なんですよね。

 

※1 目覚めた後でもハッキリと覚えている夢を見た人が100人に1人いたと仮定すると、夢の数は、日本全体で1日100万以上、1年で3億以上となる。このうち300程度の偶然に一致した夢があったとしても、別段不思議ではないが、その確率は100万分の1以下。当たらなかった夢は、記憶からすぐに消え、当たった夢は「当たった」という衝撃として記憶される。また、他人に話すことで広まり、立証された事実であるかのように語り継がれる。円了は、これを「偶合者生存不合者消滅の法則」と説いた。

 

 

——妖怪学研究をすることが、民俗学研究でもあったのではないか、と思うのですが。

 

真理を探求する哲学、心理学、これに自然科学を総合したのが妖怪学なんです。
円了は記憶力がとても良い方なんです。当時、円了妖怪学講を書いたときのノートがあって、それを見るとノートには2、3行しか書いていないのですが、そこの分類に「狐憑き」や「第一」「第二」などと書いてあり、実際、本になったものを見てみると、5、6ページに拡大されて書かれているんです。2、3行メモしただけで、自分の頭の中にすべてが入っていて、それを全部再現できるほどの記憶力の持ち主ですね。その代わり、物事を考え始めると、周りがどれだけ話しかけても、全く反応をしなくなるようなんですよ。また、妖怪学のような膨大な資料を分類するという能力もすぐれていましたね。

 

[上段画像内屏風]井上円了書「六曲一双屏風」 NOSVIS所蔵

 

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