第17回文化庁メディア芸術祭 日本のアニメを先導した男、アニメーション映画監督 杉井ギサブロー氏インタビュー

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日本のアニメを先導した男、アニメーション映画監督 杉井ギサブロー氏

 

18歳でアニメーションの世界に飛び込み、東映動画において日本初の長編アニメーション映画『白蛇伝』にアニメーターとして携わった後、虫プロで『鉄腕アトム』『悟空の大冒険』『どろろ』など、数々の大ヒットテレビシリーズの監督を勤めた、アニメーション映画監督 杉井ギサブロー氏。70歳を超えられた今でもアニメ界の最先端で活躍を続ける彼の人生は、日本のアニメ界と共に歩んだ人生だと言っても過言ではないだろう。

「本当は今頃、頭も真っ白で杖でもついていないといけないくらいなんだけどね、」と笑う彼は、力強さと優しさを兼ね合わせた、とてもダンディーな方だった。杉井氏も審査委員を勤める「第17回文化庁メディア芸術祭」の会場でお話を伺った。

 

杉井ギサブローから見た手塚治虫とは——。そして、今後のアニメ業界とは——。

 

 

——杉井さんがアニメ界に入ろう、と思われたきっかけはどのようなことだったのですか?

 

それは小学校5年生のときに出会った『バンビ』ですね。『バンビ』は衝撃でした。

トップシーンで、森の一番奥の滝が動いているのですが、専門的に言うと5段マルチっていうんですけど、一体感がありながら、1分近くパーンするんです。その当時から、日本にもマンガ映画というものは、あったのですが、こんなことが出来るのか、ってショックを受けましたね。それから、バンビの可愛らしい目。ディズニーは全部見ていますけど、それまでは正直言って、子供心に、優等生っぽくてあんまり好きじゃなかったんですよ。どちらかというと、ロシアの『せむしの子馬』や、フライシャー・スタジオの『バッタ君町に行く』の方が僕は好きだったんですけど、『バンビ』は、本当に衝撃を受けましたね。

日本でアニメーションの仕事が出来ると思っていなかったので、もう大人になったらアメリカに行って、アニメーションを勉強するしか方法がないんだな、って思っていたんですけど、たまたま当時、東映の社長だった大川博さんが撮影場の横に、ディズニーのシステムをモデルに本格的なスタジオを作ったんです。それまでは、日本のアニメーションというのは、大正時代から一種、工房だったんですよね。一番大きなスタジオでも15人程度の規模で、作家を中心に、お弟子さんたち、という作りをしていたので、これは大きな変化でした。募集の広告に5段のマルチプレーンを備えたスタジオの写真が出ていたときにはびっくりしちゃいました。それは、もうここで勉強するしかないと思って、受けに行きました。

僕は今でも、本当の意味での日本のアニメーションのエンターテイメント界の父というのは、大川さんだと思っています。

 

 

——その際に集まられたメンバーには、どのような方がいらっしゃいましたか?

 

同期生は、プロデューサーになった勝田稔男さんや、今は湯布院に行ってしまった山下恭子さん、後に撮影に移動した相磯嘉雄さんなど7人ぐらいでしたね。同じ年に東映動画の試験を受けた人は200人くらいいたんじゃないかな。

書類で通った人たちが銀座の本社に集まるんですが、僕はそのとき18歳だったので、本社に行ったときに、髭ボーボーのおじさんがいっぱいいて、なんなんだろう、って思いました。ちゃんと美大などで美術を勉強した絵描きさんたちが、絵を描いて食べられるんだったら受けてみるか、みたいな感じで受けていたんですよね。あの当時、絵描きは仕事がないですから。

結局、最後まで残って入社したのは7人くらいでした。東映動画に入って辞めた人は、病気以外の人は、ほとんどいなかったんじゃないかな。僕の記憶では、僕が一番辞めるのが早かった気がします。当時、東映動画を辞めるっていうことは、アニメーションができなくなる、ということだったんですね。東京でも、東映動画と、今のサザエさんをやっているエイケンの前身のテイ・シー・ジェーっていうテレビコマーシャルをメインでやっている会社ぐらいしかなかったですからね。僕なんかは最初からエンターテイメントのような映画を作りたい、と思っていて、アニメーションをやるつもりだったので、東映動画しか選択肢がなかったんです。

 

 

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