消えた記憶を集めながら、確かに刻む 次への一歩 

ディジュリドゥの奏者GOMA 再起不能と言われた事故から苦難を乗り越へて!!

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あの日がなかったら、今もこうして出逢えていないかもしれないしね。

 

——ディジュを再び吹かれたときは、どうでしたか?体が覚えていましたか?

 

最初は苦労したけど、リハビリの先生から「体の記憶を使えるようになれ」って言われていて。でも、そのときは、その意味がちょっとわからなかったんですよ。けど、やっていくうちに、ペンとか、お箸の持ち方も、無意識でできるようになってきて。僕の場合、「事故の前に、その楽器を20年近く吹いていたんだったら、曲を思い出せるかは、別問題だけど、頑張れば、音は出せるようになると思う」って言われたんですよ。結局、3年くらいかかったけど、やっていくうちに、「これが体の記憶か」って最近は思うようになりましたね。最近は体の記憶をどこまでうまい具合に使えるかっていうのを探っています。

 

 

——忘れた記憶に対してはどう思いますか?

 

もうそこは吹っ切れたかな。でも、振り返ろうと思ったら、すぐに溺れますね。落ち込もうと思うとか、陰の方向に行こうと思ったら、いくらでもいけてしまうし。でも、過去のことを掘り起こそうとするのは、もうやめようと思っています。

今の自分にしかできないこともたぶんあると思うから、そこにもっとエネルギーを使いたいと思いますね。人それぞれ、人生があるからね。「フラッシュバックメモリーズ」の映画もそうだけど、これは、僕の人生の、僕のストーリーだし。みんなひとつくらいは、人に言えないことだったり、悲しみを抱えたりして生きているから、誰かと比べるのではなくて、一緒だって思っています。

生きてるからね。前に進むしかないんですよね。

こうやって動けるようになるまで回復するのも、紙一重で繋がっていることだと思うから。何かひとつずれていたら、ここまできていなかったと思うし、ひとつひとつに感謝してやっているかな。そうやって思わせてくれたのも、やっぱり人だったしね。人が面白いですよね。

 

 

 ——みんな際どいラインで生きていますよね。

 

うん、ほんとそうだと思う。結局は、自分ひとりがこの世界からもしいなくなったとしても、この世界はなくならずに、まわり続けるから、それだったら、今自分ができることを全力でやらないといけないなって思うしね。後ろ振り返って落ち込んでいる暇なんてないわって思って。

 

 

——今一番やってみたいことってなんですか?

 

なんだろう。それすごく難しい質問ですね。単純に、最近そんなことを考えたこともなかったかもしれない。やってみたいことというか、自分のやれることが限られてしまったから、やれることをやるしかないぞ、っていう発想になっていた。だから、やってみたいことなんですか?っていわれて、浮かんでこないなって今思った。

 

 

——事故にあったことも、ゴマさんのようになったこともないので、軽はずみなことは言えませんが、自分が生活をしている中でも、やらなければいけないことが自分のキャパを超えたときに、果たして何のために自分がこれをやっているのだろうか、ということが見えなくなってしまうことがありますが、そういうときに、音楽を聴いたり、絵を観て、心がフラットになったり、心の隙間ができたりして、やらなければいけないことが、やりたいことに変わったり、頑張ってみようって思えるきっかけやチャンスをくれる音楽や絵の力は凄いなって感じます。

 

そういう意味では、今一番、人を元気にできることをやりたい。大元のエネルギーはそれですね。なんか人をハッピーにできるようなことをしたいなって思って。やっぱり、本当に一回人生終わったなって思っていたから、それが絵をきっかけに、個展もできたし、個展をしてみて分かったのは、俺にもまだできることがあるんだな、っていうことだったんですよ。それを気付かせてくれたのも絵だったんですよね。

 

 

——ある意味、できる事が増えた感じですね。

 

そうだね。

 

 

——音楽は生で味わえる人が限られてしまいますけど、絵は、時間や場所を変えながらも、生で残るのがいいですね!

 

そう、絵は残って、買ってくれた人のところへ旅立っていって、その人をずっと照らし続けてくれる、そういう光になったら嬉しいよね。

 

事故の後は、憎しみもあるし、人には言えない苦しみもあるし。人とか、物とかも含めて、一回全部失うものがあって、煮えくりかえることもあるけど、この3年間くらいは、とにかく這いつくばってでもやろうと思ってやってきたんです。

体がいうことを聞かなかったときは、正直しんどかった。めいってくる。怖かったし、不安だった。左半分ずっとマヒがあったのが、リハビリで大分落ち着いたから、今はいいけど、言葉がまだ話しにくいんです。

 

でも最近思うのは、ただ、絵を描きたいし、ただ、音楽をしたいし、その力を信じたい。

自分が人生をかけたもの、音楽とか、絵の素晴らしさを証明したい。

音楽があったから、絵があったから、こうして生きていけることができるんだよね。

 

あの日があったから、映画もできたし、絵にも出逢えたし、あの日がなかったら、今もこうして出逢えていないかもしれないしね。

結局は、過去があるから、今があるんだよね。

いいことも、悪いことも生きていたらあるよね。今生きているっていうのが一番大事。

 

ちょっと外にでたら、いろんな人がいるんだよ。だから、あんまりぐっと悩んだときは、円の中から一歩外に出るのが大事なことだと思う。

 

 

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