今もなお昭和の懐かしき感覚や家族のあり方とは何なのか?と投げかける作品を 発表し続ける映画監督 佐々部 清の魅力を2014年公開「六月燈の三姉妹」、そして2015年7月11日(土)より全国順次ロードショーされる待望の新作「群青色の、とおり道」2作を通し監督の思いをお届けしたいと思う。

 

「群青色の、とおり道」佐々部 清 監督 インタビュー

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NOSVIS 娯楽の要素と本質的な軸のある要素も残さなければならないというのは大変な事ですね。監督はそこでジレンマの様なものを感じる事はありませんか?

 

佐々部監督 おかげさまでその様なジレンマを感じた事はあまりないですね。僕はとても自由にさせてもらえ恵まれているのだと思います。

ただ僕の助監督として付いていた若い子が監督としてデビューした際その作品を見て少しだけ感想を言った事がありました。その作品はドラマが希薄で脚本が弱い、例えば伏線なんかももう少ししっかり張っておいた方が良いよとアドバイスしたのですが、彼自身もその事に気付いていたそうで、その話しを作品のプロデューサーに話したところ、そういう手法は今ダサイからと言われたそうです。もっとカメラが流麗に動いてかっこ良くスタイリッシュであるべきで、ドラマの伏線を張り伝わりやすくする事はダサイのだそうです。

僕は、「映画はそういったものではないよ」と言いたいですがね。

 

「群青色の、とおり道」先方記事内画像2

 

NOSVIS この作品は、いつもの佐々部組の皆さんで作り上げた作品ですか?

 

佐々部監督 今回は予算的にいつものチームでは撮影できず、もうひと世代若いチームで撮影に望みましたが、本当によくやってくれました。

僕と一緒に撮影に入る事を喜んでくれた子が多かったので僕も嬉しかったです。

 

NOSVIS 本当になかなか監督とご一緒する機会はないと思いますから、若いチームにとっても良い経験ですね。

 

佐々部監督 良いかどうかは分かりませんが、こういうスタンスの人間もいるという事を知る良い機会かもしれないですね。

 

NOSVIS これからも若いチームと撮影をしてみたいですか?

 

佐々部監督 この撮影のおかげでこの世代に対しての見方も凄く変わりました。

ですから次回大きな映画を撮る機会があれば今回の「群青色の、とおり道」のカメラマン早坂と一緒に作りたいと思っています。まだまだ経験の部分ではたりないと思いますが一緒にやりたいですね。

 

「群青色の、とおり道」記事内画像1

NOSVIS 監督は長い間映画に携わってこられましたが、若い頃から映画監督になる事が夢だったのですか?

 

佐々部監督 中学生の時は映画評論家になりたいと思っていました。監督になりたいと思ったのは18才の時ですね。映画評論家になるためにどうしようかと考えた時に、映画評論家の淀川 長治さんにお手紙を出した際たくさん映画を見ていっぱい勉強しろと言って頂き、その後大学に入り大学の仲間と人の作った作品をどうこう言うより自分達で映画を作った方が女の子にモテるのではないかという事で、8ミリカメラを買い自主制作映画を撮り始めたのがきっかけでした。

その時の、スタートを掛ける快感と編集する快感にハマってしまい監督を目指しました。26才からプロの助監督になり、デビュー作は44才の時ですから助監督を18年ぐらいやり、途中にテレビドラマの監督Vシネの監督など色々と話しはありましたが、どうしても映画の監督になりたかったのでそういう仕事を断り、助監督を続けてきました。

その後2002年、『陽はまた昇る』で監督としてデビュー。

 

NOSVIS 学生時代と現在と映画を製作する際の心境の変化はありますか?

 

佐々部監督 大きく変わったのは結婚して家族ができてからです。

それまでは、スタイリッシュでチヤホヤされる映画の監督になりたいと思っていましたけど、家族、子供ができその頃はまだ助監督だったのですが、『北の国から』というドラマのスペシャル版を2本助監督として参加した際に、このような家族の物語でも人は感動させられるのだと感じ、その事が今に繋がる大きなターニングポイントだったと思います。

また僕自身も子供や女房を養っていくという使命もでき、片親が亡くなってしまったり、切実な事がこの時期混在していました。

学生の頃『東京物語』を見た時は、なんて退屈でかったるい映画だと思いましたが、子供、家族が出来て親の死に目にも会い、この『東京物語』が日本で最高峰の映画だったのだと気付き始めたのですよ。

『六月燈の三姉妹』を撮り始めた頃、僕に『半落ち』を撮らせてくれたプロデューサーが、現場を覗きに来てくれ「今時こんな日本間で映画撮っているのは、お前と山田洋次しかいないぞ」と言われたのですが、それが僕にとって最高の褒め言葉のように感じました。この作品の縁側のシーンなどはまさに小津安二郎や寅さんの様な世界が頭にある中で撮っていましたから、本当にプロデューサーの言葉は嬉しかった。

 

おそらく家族が自分に出来て、子供を大学までは責任を持ち、嫁に行かせたいという気持ち、妻を養っていくという気持ちが、家族の繋がり、絆というテーマを撮り続けている訳だと思います。

撮っているというよりは、それならば僕にも撮れると思っているのかもしれませんね。ワイヤーワークの作品や大火事が起きたり、殺人事件があったり、そのような映画は僕自身の経験もないので、正直分からないし撮れないのですよ。

監督自身のバックグラウンドがあるからこそそれぞれのフィルター感覚から見た作品が生み出せるのだと思います。

もちろん自分の中にない世界にトライしてみたいと思う事もありますが、残念ながらそのような話しは、僕の元には来ませんけどね。(笑)

 

 

「群青色の、とおり道」記事内画像3

 

NOSVIS 今作のスチール撮影をされたカメラマンさんも出演俳優の奥さんだそうですね。

 

佐々部監督 そうなのですよ。伊嵜充則の当時彼女で今の嫁さんが撮影してくれているんですよ。写真家なのですが映画スチール経験はなかったのですが、ギャラは出せないかもしれないけどやってみる?と聞いたところ是非やってみたいと言ってくれたのでお願いしました。本当に彼女も良い写真を残してくれました。そのおかげで良いパンフレットも出来たと思います。

このパンフレットのコメントも素敵な皆さんに感想を頂き、また桐山漣の大ファンだった「のだめカンタービレ」の漫画家 二ノ宮知子さんが漫画を描いて下さり本当に映画を支える素敵なパンフレットになりました。

二ノ宮さんとは一緒にお食事に行く機会があり、吞んでいる中の勢いで「宣伝のために漫画を描いて欲しい」と言った事がきっかけでしたから、後にそんなお願いをしてしまった事が心苦しく、パンフレットの売り上げ収益の中からお礼をお支払いしたいと二ノ宮さんにお話しをした時も「私、お金のために描いた訳ではないですから」と断られました。

本当に二ノ宮さんの気持ちが嬉しかった。

こうやってお話しをしていると改めて多くの方の気持ちに支えられてこの作品も出来ているのだなと感じますね。

本当に人と人との繫がりの大切さですね。

この短編漫画は、今作品の都合上どうしても入れることのできなかった東京編をエピソードゼロとして20ページも描き下ろして下さっているのですよ。是非映画だけでなくこのエピソードゼロと合わせて『群青色の、とおり道』を見てもらえたら嬉しいですね。

 

 

 

映画「群青色の、とおり道」

7月11日(土)より、ユーロスペース他全国順次ロードショー

 

『ストーリー』

ミュージシャンを目指す真山佳幸(桐山漣)は勘当同然に故郷を飛び出し、上京。それから10年、28歳になった彼は、夢をかなえようと地道に音楽活動を続けていた。そんな彼のもとに突然父(升毅)から連絡が来る。複雑な思いを抱えながら故郷へ向かう佳幸。明るい母(宮崎美子)や高校生になった妹(安田聖愛)、かつての厳しさが見られなくなった父、小学校の音楽教師となった唯香(杉野希妃)など、変わらないもの、変わったものを目にしていく。さらに故郷の人々を前に演奏し、喜んで聞いてくれる彼らのやさしいまなざしに惹かれるものを感じる。生まれ育った町の中で、佳幸は支えてくれていた人々に向き合っていく。

 

監督:佐々部 清

脚本:橋本 剛実、佐々部 清

出演:桐山 漣、升 毅、宮崎美子、杉野希妃、安田聖愛、伊嵜充則、井上順

劇中歌:「電車の窓から」back number(UNIVERSAL SIGMA)

 

太田市合併10周年記念製作映画

企画:太田市

制作・配給:クリーク・アンド・リバー社

宣伝・配給協力:マジックアワー

 

オフィシャルHP http://www.gunjyoiro.jp

Facebook http://www.facebook.com/gunjyoiro

Twitter https://twitter.com/gunjyoiro_ota

★本作の幻のエピソードゼロを『のだめカンタービレ』二ノ宮知子氏が漫画化!劇場パンフレットに特別付録として掲載!

 

 

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