違う考えの人がいたり、他人がいるからこそ、思うことや、考えることがあると思う」和泉元彌インタビュー 元禄音楽劇「黒椿」

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改めて、自分ってこう、幸せだなって思いました

 

——今回の煉獄という役を演じられて、どのような化学反応がおきましたか?

 

すごく色々なことを考えましたし、演じる役と、自分を近づけたかったし、当然自分の中にいないとできないので、まず共通点を探しました。でも、パッと台本を読むと、相違点ばかりが見つかったんですよ。まず、煉獄は絶対的に色男なんです。頑張らなくても、常に周りに女性がいて、二枚目で、それでいて力が抜けていて・・・、色男って「はい!色男だよ」っている人なんていないじゃないですか、きっと自然体でいて、どこからともなく色気が出ているような人が色男だと思うんですよ。

和泉元彌さん2503僕は今まで生きてきた中で、「色男」だとか「セクシー」とか言われなくて、自分の中ではある種、自分が持っていないものを持っている存在でもあったので、先ずは是非、 煉獄を自分のものにしたいなという思いががありました。でもよくよく読んでいくと、煉獄が千年という長い間生き続けて、長い間受け入れられてきたっていうのは、きっと普遍的なものが煉獄のなかにあるんだと思ったんです。でも煉獄は、それぞれの時代でいいことばっかりじゃないし、辛いことを様々経験して、何周も巡って、人の何倍もの人生を生きてきて、このキャラクターになっていると僕は思うんですよ。

ひとつの今の世の中を見ても、たった20年の人生のなかで、生きていても仕方がないな、とか、生き甲斐がないなって思う人もいると思うんですね。哀しいことに。そういうことで考えると、僕自身は共感できないような、今ニュースで取り上げられている負の部分を煉獄は背負っているような気がしたんですね。

    良い時代であれ、悪い時代であれ、生き続けなければいけない。

 

例えば人間が今80年寿命があったとして、それぞれの年代を振り返ったとき、40代、50代ってすごく辛い時期だったとか、もしくは若い頃は本当に辛い想いをしてきた、でも、生きてきたからこそ、80歳になって、「あぁ、いい人生だな」と思えて死ねれば、完結するわけじゃないですか。でも煉獄の場合は、いつまでこれが続くんだろうっていう苦しみだったり、悲しみだったりを重ね続けているからこそ、人とは違った形で物語が描かれていると思うんです。

自分はどういう化学反応が起きたかというと、改めて、自分は幸せだな、と思いました。自分の人生も、終わりはいつかわからないわけですよね。千年生きることも、二百年生きることもないのは確か、明日かもしれないし・・・普通の寿命で考えれば、あと五十年くらい生きられるんでしょうけど。限りがあるからこそ頑張れることもありますよね。辛いときでも、楽しいことを思い出したり、これを頑張ればあそこにいけるっていう夢があったり、目標があったり。そのときどきに、周りに一緒に時間を過ごしてくれる人がいるからこそ、輝けたり、頑張れたりするんだと思うんですね。

僕は今回、煉獄を色男でかっこいいっていう存在として演じたいんですけど、結果、見た人が煉獄って愚かだな、とか、可哀相だなって思ってもらって、いいと思っているんです。それは、どれだけ生きようと、そのときどきで本当に「生きる」ということを知らずに千年生きてきたっていうのは可哀相なことで、そういうことでいうと、改めて、自分ってこう、幸せだなって思いましたし、普段考えたことのないようなことを考えたなって・・・。生き続けるって、苦しいんですよね。
 

この人が好きだとか、大切だって思った人たちを先に送らなければいけないじゃないですか。僕、実は家族の中で、3人兄弟の末っ子なんですね。年齢順にいくと、僕が家族全員を送らないといけないんです。で、小さいときにそれを考えて、すごく辛いと。まず、父が死ぬこと、母が死ぬこと、兄弟がいなくなっていくことってすごく辛いし、耐えられないなって思ったんですよ。なので、自分の家族を、自分のもともとのオリジナル家族に負けないくらいの家族を作ろうと。妻がいて、自分を送ってくれる子どもがいて、っていう家族を作ろうと思ったんです。

そういうことでいうと、煉獄の命ように、永遠というのはいいことではないし、時間の長さとか、短さではなくて、だれと一緒にどんな密度を持った生活ができるかっていうのが一番大切なことなんだな、っていうのを改めて感じました。

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