ただひたすらに娘を愛し そして娘の夢を叶えたいその一心が 魔のサイクルへと誘った。
NOSVIS 作品の中では、人間の狂気、欲望、願望、理性の抑制、が描かれていましたが、監督の中のフェチシズムもこの作品に入っていますか?
ベルムト監督 それは内緒です!(笑)
NOSVIS 作品の中に登場したトカゲの印の付けられた謎の部屋ですが、中で何が行なわれ、何が起きているのかとても気になりました。
ベルムト監督 まさに黒蜥蜴の部屋は、自分のフェチシズムを知る良い機会になると思います。あれを見てどう思うか?どう感じるか?それが自分フェチシズムを映し出す鏡となると思います。
なぜかと言うと観客の中には、バルバラがあの部屋に入りなぜ怪我して出てくるのか分からない人達もいます。
ですからあの扉は、皆さんがどんな思考を持ちどんなフェチを抱えているのか、自身の内面を知る扉でもあるのだと思います。
NOSVIS 多くの映画監督たちは、衝撃なシーンを印象的に打ち出そうとしますが、ベルムト監督はそのシーンを徹底して見せない部分にしていますね。まるで日本の見せない美学、美徳を意識させられました。
ベルムト監督 私は、文化とは関係なく個人的に、謎が好きなのです。そして謎は謎のまま大切に残しておきたいと思っています。小さい時に観た『ツイン・ピークス』がとても好きな作品です。
しかし『ツイン・ピークス』が、中で何が起きているのか、全てが描かれていたら好きにはならなかったと思います。それは個人的な感覚なのかもしれませんが。
日本は、どちらかと言うと「すべてを皆まで言うな」という感覚ですが、その反面とても合理的で、技術も素晴らしく発展しているのに、感情を表に出さない人が多いというお国柄ですよね。そこがたまたまこの作品のテイストとも重なってみえるのかもしれません。
NOSVIS 監督の作品は、現代の撮影テクニックを駆使した映画というより、クラシカルなカメラワークなイメージが強く、その部分が逆に新鮮に感じました。
ベルムト監督 少しぶっちゃけた話ですが作品を作る際、低予算で色々な機材を使えなかったという事もあり、限られた条件の撮影の中で徐々に自分らしいスタイルが見つかり確立していきました。私の中で特に大切にしたかった事は、何を撮るのか?物語や人の感情、心の動きが現れる構成は何なのか?その点を特に心に留め置いていました。
ですからカメラを何十台も使い色々なアングルでたくさん撮る必要はありませんでした。
それはもしかしたら挑戦だったのかもしれませんが、撮影においては心理描写や、物語を伝える上で最高のアングルを探しました。
NOSVIS まさに作品のどのカットを抜いても絵になるアングル、構成で美しいビジュアルでした。
ベルムト監督 ありがとう!私は構図を考えるのもとても好きで、映画に関してはまだまだ勉強中ですが、やはりカメラを持つとハンドでリアリティーを追いたいと思っていました。しかし、撮影を重ねて行く中で、リアリティーに自分を合わせるのではなく、自分がやりたい事にリアリティーを合わせ、持ってくる方が、私には合っていると気付きました。
ですからシーンに関しても物語、構成を考え、そこにリアリティーを合わせて引き込んでいきたいと考えました。
当初バルバラの役も50代の女性と若い男性で話が進行する予定でしたが、バルバラ・レニーと出会い彼女と会った瞬間に彼女しかいないと感じ、脚本自体を変更しました。
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